第132章 詐欺師

「ええ……先生がおっしゃるとおりにします。私、何でも言うことを聞きますから」

女は涙をぬぐい、瞳の奥には息子を案じる色だけが滲んでいた。

「院長、でしたら私は先に戻ります。向こうで私がいないって気づいたら、探しに来ますから……」

女は南坂海乃に何度も何度も懇願し、確かな約束を取りつけてようやく安心したように去っていった。

人がいなくなるなり。

野口颯汰がくっと喉を鳴らして笑う。嘲るように。

「……下手すぎる芝居だな。自分じゃ上手く隠せてるつもりなのか?」

「だよね。こっちを馬鹿だと思ってるのかな。……でも、一度は行くしかない。あいつらが何を企んでるのか、腹の中を見てやろう」

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